最近は新築住宅でも手すりの設置が標準仕様になっています。アパートでも外の共用階段、そして室内のトイレやお風呂に設置されているケースも珍しくなくなりました。そんな手すりですが、介護保険の住宅改修を目的とするのであれば、押さえておくべきことがいくつかあります。

そもそも手すりを設置する目的は何でしょうか? 介護という言葉をキーワードとして考えるなら体の機能の衰えた人のことをまず思い浮かべる必要がありますね。

まず1つ目の目的は「バランス保持による転倒防止」です。健康な方でも何かにつまづいて転びそうになったとき、思わず手をつこうとします。壁があれば壁に、そして手すりがあれば手すりにという風に。要介護状態の人に限らず、健康な方にとっても手すりはとてもありがたいものだということが分かります。

次に2つ目の目的、ずばり「安全な移動の補助」です。廊下や階段等に連続して長い手すりが設置されますが、これはいわば「転ばぬ先の杖」。第1の目的が「転びそうになったとき」、第2の目的は「そもそも転ばないようにする」、そんなところでしょうか。この2つの目的をくれぐれも軽視しないで下さい。

その他の注意点として1つ挙げておきたいのが、屋外の手すり。丈夫さに惹かれて金属製の手すりを設置する例が間々見られますが、真夏にはヤケドしそうなくらい熱くなりますし、真冬はその逆。結果、手すりを握っての「バランス保持」、「安全な移動」が難しくなります。選び方には細心の注意を払ってください。

 では最後に1つ問題です。手すりにかかる荷重は、その人の体重の約何倍と言われているでしょうか?

答え:約3倍と言われています。安易な設置がどれだけ危険か、よくわかりますね。